ピアノは、
たとえ同じ楽器であっても、
弾く人によって
音色が異なります。
透明感のある音
深みのある音
あたたかい音
かたい音
まるい音
かわいた音
潤いのある音
・
・
・
「いったい、どうやったらあんな
音が出るんだろう。」
素晴らしい演奏家の
神秘的な、
万華鏡のような
サウンドを聴いて
こんな風に思う方は
少なくないはずです。
音色に
「バリエーション」があると、
さまざまな表現が
可能になります。
絵具を使って絵を描くとき、
色を混ぜ合わせることで、
表現のバラエティーが
増すのに似ています。
各色を混ぜ合わせて
「新しい色」を作ったり、
ある色相の
「濃淡や明るさ」の変化を
つけることができます。
Sonja Kanno Zeitgeist, 2019 Oil on wood, 6 panels (detail) |
また、
水彩、油彩、クレヨン
といったように
様々な絵具を用いることで、
「質感」に変化を
もたらすこともできます。
*
音の場合は、
「基音 (ハンマーが触れた弦のピッチ)」
+
「倍音 (基音との共振によって生まれる音)」
+
楽器全体 の振動などが
音色に反映されます。
もう一つ重要な要素は
「空間」
「光」が無ければ色が存在しないように、
「空間」が無ければ音は存在しません。
そして
弾き手が直接
音色に影響を及ぼすものが
「タッチ」
です。
「打鍵」という言葉が
用いられることもありますが、
「打」という漢字のせいで
「固いものを叩く」
といったような
限定的なイメージも
持たれやすいので、
ここではあえて、
「鍵盤に触れるときの身体の動作
+触れたときの感触」
||
「タッチ」
という言葉を使います。
+「ペダル」
つまり、
音色のバラエティを増やす
↓
タッチとペダリングの種類を増やす
ということになります。
*
さて、ここで
前回お話しした
へと話を繋げます。
実際に鍵盤に触れて
音を出す前に
③『どんな音が欲しいか』
↓↑
②『何故、そのような音が欲しいのか』
↓↑
①『その音を使って何を伝えるのか。』
に思いを馳せてみます。
実現したい「音楽」が
あってこその
音色であって、
多彩な音色を「どのように」
使っていくか、
ということが求められてきます。
楽器との共同作業によって
音色を探し求める中で、
「イメージ通り」どころか、
「イメージを覆す」ような衝撃的な
音色に出くわすこともあります。
このような経験を経て、
また新たなイメージ (アイデア) が
膨らんでいきます。
*
さて、
色彩豊かな音色を
楽器で奏でるために
とても大切な第一歩。
それが
「聴く」
ということです。
私は「聴く」ことは
音楽家の最も大切な
テクニックの一つであり、
音色と向き合うときの
スタート地点
であると思っています。
そのようなわけで、
次回のピアノワンポイントコラムは
ずばり、
④聴く~その2
⑤身体
⑥楽譜を読む
と続く予定です。