音楽に対する熱い情熱、
豊かな才能を持ちながらも
身体や心に
過度の負担をかけてしまい
怪我や故障によって
ピアニストを断念した人も
少なくありません。
演奏家として
息長く弾き続ける為には、
身体にやさしい奏法を
習得する事が大切です。
指導に携わる際には
生徒さんたちの
心身の健康を見守り、
健全な成長が促されるように
配慮する必要があります。
未発達の子どもと
ワークする際には
細心の注意を払います。
フォーカルジストニアに
関する研究や(※)
科学的な研究も
どんどん進み、
興味深いセミナーなども
益々充実してきました。
紹介させていただきましたが、
「演奏家と身体」に関する
代表的な本といえば、
トーマス・マーク氏による
What Every Pianist Needs to Know About the Body
⇩
小野ひとみ氏監修・古屋晋一氏による
和訳版はこちら。
詳しいことは、
こちらの本をはじめ、
身体運動学を含む
人体解剖学の
専門家の方々による
素晴らしい解説を色々
ご参考いただければと
思いますが、
今回のブログでは
演奏家が
「自分の身体と向き合う。」
ということについて
これまでの経験も踏まえ
私なりに
まとめておきます。
奏法を習得する際に
「一方的で画一的な方法」
が必ずしも
ふさわしくない理由は
体格や運動能力、思考パターンなどに
個人差がある
からです。
その為、
いかなるアプローチを
とるにしても
まずは
「個々の身体特性に目を向ける」
ことが
大切かと思います。
①自分の身体の特徴に気づく。
「あなたの手の特徴をあげてみてください」
と言われたら、
どの様に答えますか?
ー掌のサイズ
ー指の長さ
等が真っ先に挙げられるでしょう。
その他にも
ー手の厚み
ー指の太さ
ー手首の柔軟性(関節の可動域)
ー掌の広がり(指のストレッチ)
などにも特徴があります。
さらに、
大切な注目ポイントは
「比率(バランス)」
です。
例えば
ー5本指の長さの比率の違いは
各指が触れる
鍵盤の位置、
手首の角度や指使い
などに影響します。
また
ー肩幅+腕の長さ
ー各関節の可動域
ー胴体と足の長さの比率などは
ピアノと身体の距離や
椅子の高さに
影響します。
ピアノと身体の
位置関係は
身体の使い方→タッチに
影響し、
最終的には
に影響します。
このように
身体的特徴を正確に認識し、
全身を連携させて有効に使う事で
ある特定の部位に
過度の負担を
強いることを
防ぎます。
さて、
この時に、
身体的特徴と併せて
注目したい
以下のようなポイント
があります。
⇩
②身体能力
③身体のコンディション
④心のコンディション
これらについては
次回のブログで
お話ししていきたいと
思います。
お楽しみに!
【論文紹介】
※NY市立大学大学院センター時代の友人、ジュディ・ウー博士の論文「ピアニストのフォーカルジストニア:音楽学校の役割について」には、実際にフォーカルジストニアを患った二人のピアニスト+指導者、ゲイリー・グラフマン&レオン・フライシャーの貴重なインタビューが掲載されています。
”Focal dystonia in pianists: The role of musical institutions.”
Woo, Judy K. City University of New York.
ProQuest Dissertations Publishing, 2011.