スキップしてメイン コンテンツに移動

投稿

2022の投稿を表示しています

米国の音楽博士課程①:受験編

  以前、 音楽修士課程の入試について お話ししました。 ↓ ブログ一覧 今回は 音楽博士課程 の入試の準備やプロセスについて お話しします。 こちらが私が長年お世話になった ニューヨーク市立大学大学院センターです。 ↓ Photo by Alex Irklievski 音楽学部の紹介: ニューヨーク市立大学大学院センター 音楽博士課程コース ー音楽留学サイト And Vision より (但し、こちらは2012年の情報なので 授業料等変更があります。 最新情報・詳細は必ず学校の オフィシャルウェブサイトで ご確認ください。) 音楽学部には 学術の PhD と実技の DMA のコースがあります。 ニューヨーク市立大学大学院センターでは DMA論文は PhD論文と 同様に審査されるため、 実技に加え 学術論文の比重が大きめです。 同じDMAコースであっても、 学校によっては 論文がやや小規模だったり、 論文の代わりに レクチャーリサイタル が必須課題だったりと 内容が少し異なるので、 受験前にコース内容と 学位取得条件を確認してから 志望校を検討されることを お勧めします。 * DMAの入試の準備・プロセス NY市立大学大学院センターの 入試課のページ を例にとってお話します。 【出願時に必要なもの】 (全ての大学受験に共通して 必要な 成績証明書 卒業証明書 推薦状 などについては 出願準備② 具体的なプロセス で触れているので そちらをご参照ください。) ①ライティング・サンプル :修士時代に書いた小論文等を計二点、内 一点は音楽プロジェクトに関わる内容 ②パーソナル・ステートメント :博士号を 将来自分のキャリアにどのように役立てていくかなど、志望動機など綴ったエッセイ ③演奏予備審査用映像 : 最低40~50分程度のプログラム、 4期  (バロック・古典・ロマン・近代) から 少なくとも3期+21世紀の作品 ④TOEFL や GRE のスコア: 受験年度によって条件が異なる 【第二次選考】 A. 実技試験(ライブオーディション) B. 筆記試験(音楽史・音楽理論・分析) C. 面接 ※留学生の場合は 英作文の試験 等が 追加される場合もあります。 一般的な流れは 実技試験 → コールバック→ 筆記試験 ですが、 現在マンハッタン音楽学校は 何故かピアノ科だけ

ピアノワンポイントコラム⑫譜読み~その4:「大事!の意味を見極める」

  かなり時間が空いてしまいましたが、 「譜読み」の続きです。 前回までのブログ(↓)では 譜読みの 文章的 な側面→譜読み~その1 譜読みの 建築物的 な側面→譜読み~その2 譜読みの 脚本的 な側面→譜読み~その3 様々な音楽の要素を 多角的に比較 することで、 楽曲の持つ 多層性や文脈に 気付くことが出来る というお話しをしました。 今回は 『楽曲に存在する Tiefsinn =万物を貫く普遍性(核心) とは?』 という問いについて 綴っています。 これはある意味 とても根源的かつ 個人的な質問です。 「楽曲に核心なんか存在しない」 という人もいます。 音楽を音楽以外のものに 例える事に 違和感を覚える人もいます。 ですから、 ここでは 「明確な答えはない」 というのが 無難なのかもしれません。 しかし、 せっかく ここまで 読んでくださった方々への 感謝の気持ちを込めて、 私なりの 答えを綴ってみようと思います。 相変わらず 前置き長くてごめんなさい! * ここから本題! 突然ですが この写真を見てください。 Photo by  Fabrice Villard ↑ この写真に写っているものは何でしょうか? 多くの人は 「これは木だ」と 答えたと思います。 (違う答えも大歓迎です! またその議論は別の場で!) ほとんどの人が 「この」木を見たのは 初めてだったにも 関わらず なぜ多くの人が そのように 答えたのでしょうか? 「この」木に あらゆる木に通じる 木の普遍性 を 見出したからです。 「木が木たらしめる為に 不可欠なもの」 ↓ 木の『核心』 であるとすれば 「ある楽曲を ある楽曲たらしめる為に 不可欠なもの」 ↓ その楽曲の『核心』 ということは 出来るでしょうか? 少し 詭弁っぽいですが 、、、。 (笑) そして、 作品の核心は 楽曲の『像』を ハッキリと描く ことで 浮かび上がってくる ように 感じます。   但し、 この『像』は 物理的、 具体的 なものだけでなく 「概念的」 なものも含みます。 (またこのことについては 別の機会に詳しくお話しします。) さて、 これは、 特にロマン主義的な見方 、 そして シェンカー理論(※)にも 少し繋がるお話ですが、 ゲーテやヘーゲルなどの思想家は 楽曲を 「 一つの有機体 」として 捉えました 。 種子か